2023年12月15日 (金)

やっと出たAPS-C用広角ズーム、RF-S 10-18mm 1:4.5-6.3

EF-Mを廃盤にするなら、R7&R10発売にあたり、最初から用意してほしかったレンズ。
素人は、EF-M11-22 1:4-5.6があり、それをそのまま移植すればいいのでは、と考える。
EF-M比、またもや広角端がf/4からf/4.5に暗くなっている。
その代わり1mmワイドになった。
EOS M5を買い戻したので、EF-M11-22を中古で買い戻す手もある。
EF-S 10-18mmとの周辺画質比較が某カメラ量販店に載っていたので、
しゃあないな、とこのレンズの購入に腰を上げた。
しかし、EF-Sと比べたら画質は勝って当たり前。
EF-Mと比べてどうなのかだが、似たようなレンズを複数揃えるのもねぇ。

RF-S18-45とパーツを共用したのではないかと思うほどの、チンケストデザイン。
Rfswidestd1

今回は一応、超広角域もカバーするレンズとして、後端までレンズが配置され、ショートフランジバックは生かしているようだ。
Rfs10back


いつもの夜景でチェック。
Rf1645ntall

RF-S10-18mm 広角端開放F4.5  カメラはEOS R10
1/100面積の切り取り。
本当の右上隅には何も光源が無かったので、隅よりは少し内側です。全景からお察しください。
Rf1045ntco

比較対象にRF16mmF2.8のF4.5の画像。 カメラはEOS R6
Rf1645ntco

RF16mm F2.8開放
Rf1628ntco

RF-S10-18mm、うるさいことを言わなければ、まあシャープな良いレンズではなかろうか。
フルのRF16mm F2.8に比べても夜景描写ではそん色ない。
ただし歪曲収差電子補正だからからか、このレンズも多少ながら放射方向の吊れがあって、少し連れない気分になる。
どれもこれも普及RFは(RF28mm f/2.8 STMを例外として)こんなレンズばかり。

総評としては、軽いし、小さいし、1mm広いし。UDレンズ2枚とPMo非球面も奢って5万なら、しゃーない、買うかみたいな気分。
ただ、繰り返しになるが、開放F値がEF-M11-22よりスペックダウンしているのが残念だ。

| | コメント (0)

2023年12月14日 (木)

カモメレンズの実力はいかに・・・RF28mm f/2.8 STM

ミラーレスでレンズの設計に自由度が高くなった、とは良く聞かれる言葉である。
しかし、パンケーキレンズに限っては撮像素子への入射角度の関係で、難易度が増したらしい。
相次いでニコンとキヤノンの開発陣からメディア記事を通じて聞いた。
キヤノンの場合、レンズ断面がカモメの翼のような強度の非球面レンズでこの難問を解決したのだという。
そうして生まれたのがRF28mm 1:2.8 STMである。
これを買っても、RF-S標準ズームのスペックダウンから生じた”画角24mm難民”問題が解決できない。
でも、これは面白そうだ。
まるでちゃちい面構えだが、MTFグラフがLレンズをあざ笑うかのような高レベルを示している。
28vs28_1

28vs28_2

後玉は一目見て、四角くて特徴的な曲面を感じる。
さあ、いつもの夜景。
EOS R6 ISO400 RF28mm F2.8開放 4sec
Rf2828ntfull
中央部・・・いつもの画面1/100の部分の拡大
RF28mm F2.8
Rf2828ntctmag

RF24-70mmF2.8Lの28mm 開放
Rf2828lntctmag

smc Takumar 28mm F3.5の開放
Taku2835ct

中央部は、MFにおいてどこを合焦位置とするかで微妙な色ズレの違いがあるが、いずれのレンズも問題ない。

右上隅
RF28mmパンケーキ
Rf2828ntexmag

大三元RF24-70mmの28mm開放
Rf2828lntexmag

smc Takumar 28mm F3.5開放
Taku2835ntex

いにしえのTakumarの豪快な手裏剣状コマはご愛敬として、(これはこれで一つの味である)
カモメレンズ、これは素晴らしい。大三元を凌駕している。というか大三元何をしているのか。
パンケーキでコンパクトなら、若干周辺画質が落ちても大目に見てやろうというのが相場だが、
これは完全な下剋上だ。
この高度な非球面レンズの製造はCanonの某事務機の応用だと聞くが、
Canonならではの、RFレンズの期待できる新風である。
自分的にはベストRFレンズオブザイヤーである。

このレンズ、APS-Cの周辺画角で見ると、
Rf2828ntapmag
うるさく見ると幾分三角形のコマを感じるが、まあわずか、いちゃもんレベルである。
このままフルサイズの周辺でコマが増大するかと思えば、フル周辺ではむしろいい。
不思議なレンズだ。
このレンズも最近のCanonレンズの御多分に漏れず、歪曲収差電子補正である。
が、この種の補正で決まって現れる、夜景での放射方向の引き吊れがほとんどないのもいい。
ともあれ、この5万円は面白い。
Canonのファンを続けられそうだ。

 

| | コメント (0)

2023年12月12日 (火)

画角84°のレンズ達の対決

RF-Sにフル24㎜相当のレンズがなかなか出ず、悶々としていた。
山はAPS-Cで充分である。
フルサイズにRF24-70mmF2.8Lを山に持っていく気力はなく、
フルのなかでは小型軽量なEOS RPかEOS R8を買って、RF24-50mm F4.5-6.3にするか。
これまた広角端が暗い。せめてF4なら。でも、レンズは先に確保してみた。
いまさらRPじゃ使わなくなるのは目に見えているし、
小型軽量も性能のうちとは理解しても、R6を売って下位機種のR8に乗り換えるのも気分が進まない。
結局、EF-M15-45mmを使うためにEOS M5を中古で買い戻す羽目に。
何だかCanonのレンズ展開にむしゃくしゃする。
Angle84deg

でも、描写力で圧倒しました!
これからの新時代についてきてください、というのなら信じてついていくことも吝かではない。

昼の風景で。
Efm1535dlall

APS-CはEOS M:5184×3456pix、フルサイズはEOS R6:5472×3648pixであるのであしからず。
左下隅の面積で1/100の部分を見る。

EF-M15-45mmの広角端開放F3.5
Efm1535dlmag2

RF24-50mmの広角端開放F4.5
Rf2445

RF24-70mm F2.8Lの広角端開放
Rf2428lmag

EF-Mは調整不良なのでは、と思うが、実はこれも買い直している。
複数の個体で似たような結果だ。でも3人で自撮りするような近距離では隅は気にならないし、換算24mmの画角は重宝する。
RF-S18-45mmの企画者、出てこい!
さして期待していなかったRF24-50mmの並レンズは?
ズーム比を欲張っていないせいか、割と頑張っているが
そして。さすがに大三元のLレンズは広角端F2.8開放からきめ細かく切れ込み、明らかに良い。安心した。


念のため、夜の点光源でも確認しておく。
今度はEF-M15-45のボディはEOS M5:6000×4000pixであることに注意。
全景。
Rf2428ntall

右上の面積1/100を拡大してみる。
RF24-70L広角端開放
Rf2428lntmag
ん?
RF24-70L F3.5
Rf2435lntmag
ん?
EF-M15-45mm広角端開放
Efm1535magnt_20231212234901
ピントはRF24-70Lのほうがいいが、光源の流れはむしろ目立つ!

RF24-70L F4.5に絞る
Rf2445lntmag

RF24-50mm F4.5-6.3の広角端開放F4.5
Rf2445ntmag

なんだこれは。
30万円も出して買ったレンズがコノザマだ。
RF24-50のしょぼ安物ズームのほうが安定している。
収差というより・・・偏芯かなにかではないか。
昼の風景では左下隅を見ていたが、夜景では右上を見ていたのでそうなったか。
いや、30万円のレンズにはその言い訳は通らない。
大きく、重く、そして高価になった大三元の中心的レンズがこれか。。。
なんだか、がっかりである。

 

| | コメント (0)

2023年12月11日 (月)

EF-M15-45mm 1:3.5-6.3 vs RF-S18-45mm 1:4.5-6.3

EOS R10は速写性とAFの賢さを中心に、想像以上に良いカメラだ。
しかし、その標準ズームは、EF-M時代に比べて、ワイド端が15mmから18mmに狭くなり、明るさもf/3.5からf/4.5に暗くなっている。

カメラにつけてズームしただけで、ズーム比狭くなっているのはすぐにわかる。
なぜこんな仕様にしたのか、Canonに100回問いただしたい。

圧倒的に小型にしたから?質量は変わっていない。マウントが大口径になったから、実質10g軽くしました!というなら、10g重くなってもEF-Mの光学系のままでお願い。

圧倒的に安くなった?そんな気もしない。こんなショボいレンズに5万円も出したくない。
きっとCanon的には、利益幅を確保したに違いない。

Efmvsrfs1

前玉はショボく小さい。

Efmvsrfs2

まるでトイカメラのように小さく奥まった後玉。萎える。
ミラーレスって、ショートバックフォーカスを生かして高性能化できるんじゃなかったっけ?

15㎜と18㎜って、こんなに広角感が違う。
15㎜
Efm1545all

18㎜
Efm1845all

でも、画質に大きな進歩があれば、まあ、RF-Sにも存在価値はあるが。
左下隅
EF-M15mm3.5  ワイド端開放
Efm1535mag

RF-Sに合わせるため、18mmF4.5で使うと、なぜだか画質が低下し、
EF-M18mmF4.5
Efm1845mag

RF-S18mmF4.5
Rfs1845mag
デジタル画像補正が効果を上げているのか?
画質的には、同じ18mmでは明確にRF-Sの勝ちではある。
しかしEF-Mの15mm域はそれほど悪くないし、なにより15mmが使えるのは3人くらいの自撮りの時便利だ。
新しいシステムの標準ズームだ。最新の技術で画質と利便性の両立を図って欲しい。それが進歩というものだ。

さて、夜景では?
Rfs1845allnt

画像右上部分600×400ピクセル
EF-M15mm 1:3.5
Efm1535magnt

EF-M18mm 1:4.5時
Efm1845magnt

RF-S18mm 1:4.5
Rfs1845magnt

これは、また悩ましい結果。
EF-Mのワイド端開放はやはり画質の低下が伺われる。とはいえ。。。RF-Sが優れているかというと?
シャープさはRF-Sのほうがあるが、内方コマというのか、とがったハロが目立って尾を引くのもRF-S。
天体にはF4.5はただでさえこれ以上絞れないし、絞っても、たる型歪曲の電子補正のせいか、尾を引くのは直らない。
天体はフルサイズでやってちょうよ、とCanonはあざわらっているのか。

| | コメント (0)

2022年2月28日 (月)

RF16mmF2.8 STMのイジワルテスト

16㎜という超広角それもF2.8と割と明るく、小型軽量で4諭吉でおつりがくる。
比較の対象として適切ではないが、レフカメラ用のEF14mmF2.8LⅡUSMだと337,700円!
広角で2mmの違いは大きいとはいえ。
もちろん、光学の力だけで性能をまとめたレフ時代のLレンズは土俵が違うだろうし。

この思い切った仕様のRF16F2.8、怖いもの見たさを感じた人民は大勢いるようで、12月時点で納期は3ヶ月と通告された。
実際には2ヶ月程度で来た。
果たして、このRF16、電子補正前提の薬漬け医療!?のボロレンズなのか??
Rf16_gaisou

電源を入れた状態。少し繰り出す。OFFの時はツライチぐらいまで引っ込む。RF50/1.8と寸分たがわぬコンパクトさ。
Rf1628_back

後玉は大きく存在感を示している。

さて、実写。
EOS RP  RF16mm F2.8 STM  F2.8/ 1/3200sec ISO100 カメラ補正ありきのJPEG
Rf16_col
幾分周辺光量落ちを感じるが、スカッとした感じで、思いのほか悪くない。
ここですかさずマウント取り外しボタンを押して緩め方向に少し回す。
→カメラにレンズ情報がいかなくなり、素の写りとなる。
Rf16_noncol
なるほどね。著しいタル型の歪曲収差と周辺減光。
カメラで歪曲収差のOFFは選べないが、周辺減光のON/OFFは選べる。
こういった仕様に是非の議論はあると思うが、わざわざOFFの画像を評価する必要もないと思う。
むしろミラーレスカメラだからできた思い切った仕様、そして手の届く値段を評価すべきであろう。

因みに、安いほうのRF24-105 (STMバージョン)も、電子補正前提。
24mm電子補正あり
Rf24105stm_col

同補正切
Rf24105stm_noncol
こちらは完全に四隅が蹴られている。


さて、RF16mm F2.8 STMに話題を戻す。
この画角、星景に好適だが、画質的に使えるのか・・・?
あまり期待はしてなかった。

いつもの夜景でテスト
EOS R6 RF16mm F2.8 STM /ISO400  補正はカメラにお任せ全項目ONの JPEG
全景
Rf1628_all

左上隅(面積で1/100)等倍切り出し
F2.8
Rf16_28mag

F4
Rf16_40mag

F5.6
Rf16_56mag

開放F2.8では鳥が羽を広げたようなサジタルコマがあるにはある。
でも、全画面の面積に比べたら、狭い所に収束していると思う。
F4ではサジタルコマが減り、タル型歪曲収差を補正したから?と思われる内方コマ状の流れと相まって手裏剣状になっている。個人的には嫌いでない。
F5.6ではサジタルコマは見えなくなり、内方コマ状の流れが残る。

星景なら開放でも行けるんじゃないか。
これは儲けもの。
一段絞ってもF4だからまだ星にも行ける。

星景
EOS R6 RF16 F2.8開放/30sec ISO400 ポタ赤で追尾
RAWをDPP4でトーンカーブ強調処理
Winter_hex

光害が酷くて露光を上げられなかったが、星像は小さくまとまり、思ったよりいい。
2000万画素のR6で使う限り、遠景では意外としっかりしたイメージを結ぶように思う。

| | コメント (0)

2021年4月18日 (日)

口径8cm用バックロードホーンの設計製作3

およそfx=200Hzになるように空気室は増減してみたが。
ボーカルが風呂場エコーになる。
低音に今一つ芯のない・・・”実”が入っていない・・・音である。
もう一度音質の傾向と対策表を見る。
Bhthroat
まだ④寄りの音だ。①に向けていきたい。
そこで第一音道にt=4mmの板を挿入して、スロートを絞ってみる。

スロート断面積So=1.7×12=20.4cm2 
これはFE83NVの振動板面積3×3×3.14=28.26cm2の72%ほどで、Qo=0.78と高め(非力)のユニットには妥当な数値ではないかと。

fx=200Hzとするには、空気室は
Va=10*So/fx=10×20.4/200=1.02L
となるから、さらに0.2Lほどの詰め物を追加したほうが良いのかも、と予想する。

音はどうか。
低音にグンとしまりが出た。ピントが合う感じだ。
ただ、低音のカットオフが高くなった感じ。ある音域を境に低音がからきし出ない。??
一応、ホーンの開きをもう一度エクセルで検証してみる。
Bh83_nthroat_whorn
スロートは狭くなったのに開口は同じ大きさだから、広がり率1.1の理論曲線より上に乖離が大きくなった。
むしろ広がり率1.2の曲線に乗るようになってしまった。これはおそらく広がり率が大きすぎ、やり過ぎである。
では、音道を再設計しなおすしかない。
Bh83_2
赤い材をつけ足してつじつまを合わせることにした。
これにより、広がり率1.1にできるだけ近くなるようにした。
Bh83_nthroat_nhorn
つまり、同じ広がり率でも、スロートの断面積で、箱そのものの大きさは大きく変わってくることになる。
スロートを小さく決めれば、小さい箱で済むわけだ。
のこぎり買うくらいなら狭いスロートに合わせて再設計したほうが手っ取り早いかもしれないが、たたき台・・・経験値を増やすつもりで錯誤することにする。
勇気をもって、切開手術。
Bh83kai1
広がりが増え過ぎないように板材を足す。まあ、補強にはなるかも。
Bh83kai2
空気室には0.594Lの木端を詰めたときが聴感上、ベストと思われる。スピーカーの後ろの飛び出しを0.07Lとすれば、
この時、実効Va=1.845-0.594-0.07=1.18L
この時のfx=10*So/Va=10×20.4/1.18=172.9Hz

fx=200Hz辺りが望ましいということなので、もう少し木端を詰めてfxを上げてもみたが、低音の量感は増すがややふやける。
バックロードホーンらしいスピード感を優先して、このfxとした。

この新音道にしたら、ボーカルのエコー感はほとんど気にならなくなった。
試しに吸音材も入れてみたが、わずかの挿入でも音が死ぬ。音に活気がなくなり、面白くなくなる。
わずかにボーカルがに賑やかになるが、吸音材は無しがいい。
スピーカーが非力なせいか、この辺の調整には敏感に反応する。

当初の残念なボンキュッボンから、腹筋割れてるみたいなイメージになった(笑)
わずか8cmのフルレンジとは思えない、アタック感のある低音が出るのに驚いた。
バッフルを接着剤で固定したら、一段といい方向に変化した。

ただし、弱点もある。
バスドラのキックがドン、ドスンと来なくて、ポン、ポンと軽い。
こういう曲は苦手である。
(ユニットの音とホーンからの音が充分混じるように離れて、その分音量を上げて聞けば、まあ合格範囲にはなる。)
ルームアコースティックも重要である。
バスドラにベースとか重なる曲ならいい。むしろ30cm3Wayもびっくりの音である。
ジャンルというより、同じミュージシャンの曲でも、楽曲一つ一つ向き不向きがある。
やはり周波数特性に山谷があるのだろう。
でも、アタック感に富んだ、バックロードホーンならではの音に仕上げることが出来たと思う。

以上、個人の感想です。

| | コメント (0)

口径8cm用バックロードホーンの設計製作2

口径8cmフルレンジの冴えた中高音を生かしたままバックロードホーンのアタック感あふれた低音が得られたら、理想的な4畳半オーディオが作れるのではないか、と少々虫の良すぎる考えが生まれた。

一番早道なのは、10cmの時にお世話になったK-Designの板材キット(8cm用はBH08m)を購入すること。
何故か10cm用と12cm用はsold outだが、BH08mならば在庫がある。(2021/4/18現在)

だが、ちょっとケチな気持ちがもたげたのと、自主開発もいいかな、という気持ちも出てきた。
自主開発といっても、幾つか製作経験があり、ある程度傾向と対策のわかってきたバスレフ型と違ってバックロードホーンは現状暗中模索状態である。
そこで
第14回:バックロードホーン型(BH型)スピーカーの設計しよう ~その1(作例編)~  初心者の自作スピーカー講座 カノン5Dの資料室 (fc2.com) 以降の、カノン5Dさんのサイト、ページを全面的に参考にさせていただいた。

基本思想としては、好感触を得た10cmの時のキットBH10mを模倣することとした。
・ホーン開き定数mは大きめの1.1
・ホーン開口面積は、振動板面積の4倍以上
・ホーン長さは欲張らず1.5m程度・・・無理に低音の帯域を下に広げるより音飛びの良いことを優先
・空気室は1.845L、スロート断面積は24cm2・・・とFE83NVの有効振動板面積3×3×3.14=28.26の85%にも達する・・・大きめの設計とし、ゆったりとした低音再生を目指す。→その後この思想は祟ることになる(苦笑)

基本はエクスポネンシャルホーン
S=So*EXP(mx)     
  So:スロート断面積 m:広がり定数 ここでは1.1   x:スロートからx[m]の距離の場所のSホーン断面積
で表せる、指数関数的に広がるホーンとした。
実際には、離散的な広がりで数回折り返すホーンとなる。
1回目試作では、下図のような(ただし赤い板はなし)形状となった。
このZ軸方向(実際にスピーカーBOXを立てたときには幅方向)の箱内寸は12cmとした。

Bh83_2

木取り略図をエクセルで作っておくと、ホームセンターで板材のカッティングの時スムーズになる。
Ef83_kidori
板材はランバーコアのサブロク板、板厚は15mmとした。意外と安くて2,200円ぐらいだったか?
べニア板の板厚15mmはホームセンターから姿を消して久しい。
ランバーコア材はけっこう反りがあるので、選べる場合には良く見て選ぶほうが良い。
この略図をホームセンターのその日の木材カット担当のおねいさんに差し出してお願いしたら、すぐさま理解してくれて手際よくカットしてくれた。
(デキる女って言葉が似合う)
1カット50円×17工程=850円は、安いと思えてしまう。

Bh83_wthroat_whorn_real
一応、音道の広がり状態を近似的にエクセルでチェックすると、下図のようになった。
Bh83_wthroat_whorn
橙:広がり率1.1の理論値
青:折り返しホーンの現実

板材の反りが若干感じられる。接着のあと荷重をかけると移動しやすい。接着の時音道の幅を確認しながら修正をかけながら蓋をする必要がある。速乾の木工ボンドは意外と固まるのが速く、位置決めが忙しい。
完成をじっくり待てるなら、速乾でないほうがいいかも。
Bh83_real
が、一応格好にはなった。
空気室の調整が楽にできるように、バッフルは取り外しができるようにした。

素のデータ
ホーン長:約1.5m
空気室容積Va=12.5×12.3×12=1.845L
スロート断面積So=2×12=24cm2
ホーンとユニットのクロスオーバー周波数fx=10*So/Va=130Hz・・・適正値は200Hzあたりといわれている。

まあ、空気室Vaは詰め物で小さくできる。
fx=200Hzとするには、
Va=10*So/fx=10×24/200=1.2L
となるから、0.6Lほどの詰め物を覚悟しておく。

Bh83s_20210418114101

さて視聴。
詰め物なし:ボヨンボヨンホーン。ホーンが勝手にボーボーホーホーと鳴る。
ベースの音程が変わるごとに出たり引っ込んだり。
残念なボンキュッボン(苦笑)
中島みゆきが風呂場で歌っている orz

まあ、これはある程度想定通り。
ここまでもそうであったが、困ったときの神頼み、カノン5Dさんに教えを乞うことにする。
Bhthroat
明らかに④の状態。①の方向にもっていくべきである。
木端で0.55Lほど空気室を埋めることにする。(スピーカー自身もマグネット等で0.07Lほどの体積を占める)
Bh83tune1
うーん、だいぶマシにはなった。が、まだこれだ、という充足感がイマイチ。
まだボーカルの風呂場反響が・・・。
すぐ思いつくのは、吸音材を詰めること。
Bh83tune2
ボーカルの透明感を得るには、この画像のように、ほんのちょっとで充分だった。
が、今度は音が死ぬ。
せっかくのバックロードホーンの、その低音の躍動感が・・・。




| | コメント (0)

2021年4月15日 (木)

口径8cm用バックロードホーンの設計製作1

すでに口径10cm用バックロードホーンは、市販のBH10mというキットを組み立てて使用している。
Bh10m_kumi

このホーン、結構思い切った、割り切った設計のようだ。
実測による、大まかなホーン形状  黄色は、広がり率1.1の理論カーブ
Bh10m_horn
まず、S=So*EXP(mx)  So:スロート断面積 x:スロートからの距離[m]   m:広がり係数
で表される広がり係数が、大きめの1.1
スロート面積Soがスピーカー(FE103NV)の振動板面積4×4×π=50.24[cm2]の95%に達する47.85[cm2]と大きめ
空気室が大きめ(ただし、これは物を充填するなどして小さくする方向の調整はできる)
ホーン長は1.3mほどと、短め
→帯域を欲張るよりも、音飛びの良さを重視という謳い文句である。

空気室のポケットにフェルト状の吸音材を入れて、現状ベストという状態で、使っていた。
低音の快活さというものは、ジャンルはちょっと選ぶが、10cmフルレンジからは想像できないほど満足感のあるものだ。
しかし10cmのFE103NVですが、中高域の切れ味、透明感、爽やかさというものがもう一つであるのも事実。

一方8cmフルレンジは、バスレフ箱ではいくつか経験してきており、爽やかな中高音など、その侮りがたい実力には注目せざるを得ない。
FE83NVとFE103NVの諸元比較をしてみる
Fe83_1
周波数特性高域限界はともに22kHzだが、聴感上はどうだろう。
moはFE83NVは1.4gしかない。重低音再生はなかなか厳しいものがありそうだ。
もっと難しそうなのはQoの違い。FE83NVではQo=0.78と、意外と高い値なのだ。
Qoが小さすぎるとバスレフでは低音が出にくいので、あえてそういう設計にしてあるのだろう。
が、バックロードホーンにはこれは吉と出るのか凶と出るのか。
Whyfe83
そこで、FE83NVをポチり、段ボールの仮箱で視聴。
中高域の冴え、透明感は期待通りだ。
明るいけどカサカサと”紙臭い”往年のFEシリーズとはちょっと違う感じだ。
緻密で爽やかで切れ味もよい。
センタードームが金属の機種FF85Kなどと比べると煌めき、金属系の楽器の冷たさの再現は一歩譲るが、キャップも同じ素材なのか、低音中音との音質の同一感に優れ、これはこれで魅力がある。
FE103NVではわずかに感じた高音のもう少し感・・・何だかマイカ=石臭い?もほぼない。
ぜひこの優れた中高音のユニットにスピード感のある低音のバックロードホーンを組み合わせてみたいものだ。






 

| | コメント (0)

2021年2月20日 (土)

CF-1900の修理(6)

1973年製のラジカセ、SONYのCF-1900。
ジャンクでヤフオクで手に入れて整備し、今年で5年目。
Cf1900_1
途中パチパチノイズに悩まされたが、カセット部メインスイッチの交換で、嘘のように収まってしまった。
その過程でモーターがノイズ元ではと、他機種CF1150のモーターを”心臓移植”して、(都合3個イチ)ほぼ快調に使えてきた。

しかし、以前からあった、現象2つが最近ひどくなってきた
・RADIOをOFFした時TAPEの再生音が出ない、雑音に埋もれる。何回もRADIOをON/OFFしてやっとTAPEが鳴るようになる。
・録音ボタンを押してもRECメーターが振れない。何度か押してRECメーターが振れるようになっても、実際録音を始めて何分か経つと、いつの間にかフェードアウトして、録音がされていない(非常に小さい音でしか記録されていない)

原因は承知していて、愛しのCF-1900が不調 ( ;∀;): レレレの星おじさん (cocolog-nifty.com) 過去にも手を入れていたのだが、姑息術に終わっていた。
ここは一念発起して録再切替およびラジオテープ切替スイッチ連の根本治療をしてあげよう。しかし、しくじればすべては終わる。
まず、裏蓋を開ける。
黄色〇で囲った短いほうがラジオ/テープ、長いほうが録/再切替スイッチ連
Cf1900_2
これらを、半田吸い取りリボンで、パターンを剥がさないように慎重にはんだを除去して取り外す。
Cf1900_3
取り外したスイッチ連を金属の爪を起こして分解する。
Cf1900_4
特に両端の接点が黒く酸化しているのがわかる。
また、録再切り替えのものは、可動接点の両端2つずつが足2本(ノンショーティング)、中央6個が足3本(ショーティング)であることに注意。
Cf1900_5
可動接点を外してみると、黒変部位がはっきりする。
これを、綿棒に無水アルコール(入手できなかったのでエタノールで代用)をつけてそっと丁寧に清掃する。
Cf1900_6
清掃後。固定接点はきれいになった。可動側は、”触らぬ神に祟りなし”でそっと戻した。ご自身の摺動で自己研磨されるだろうから。
ラジオ/テープ切替についても同様。
Cf1900_7
なぜか同じく、両端の端子が特に酸化がひどい。
Cf1900_8
清掃後の端子たち。
これをソオッと元のハウジングに収めて復元。
そして、基板にはんだ付けし直し。

さて、どうか。
ラジオを聞いて戻した後、テープ再生。なんの不自由もなく再生。
録音は・・・これも普通にOK。
当たり前のことがありがたい。

おりしも、

みんなのうた60

NHKみんなのうたが始まって60年の年だという。そんなおいらも還暦の年だが。

懐かしい歌が、またこの懐かしい機器でリアルに聞ける。
音声のみが残っている曲は、中波のラジオ第二でのみ放送という。
さっそく”エアチェック”してみた。今ならデンスケとか、いやもっとHi-Fiなデジタル録音媒体もあるが、あえてCF-1900のソニオマチック自動録音で撮ってみた。
もっとひどい音かと思ったが、意外といける。現行のラジカセ普及品より走行系が安定していて、だみ声にならないのが良い。
もちろん本当のHi-Fi記録に比べれば「懐かしさ」というバイアスがかかっているが、製造から48年という歳月を考えれば奇跡に近い。

放送も機材もみな懐かしい。これはもはやタイムマシンである。

| | コメント (0)

2021年2月16日 (火)

RF50mm F1.8 STM その5

ボケ味を見る
RF50mm F1.8 STM開放
Rf5018bokeh1

EF50mm F1.8Ⅱ開放
Ef5018bokeh

フレアの違いでわかりにくいが、ボケ量の少ない所で若干うるさい二線ボケ傾向なのは、両者よく似ている。
RFは、シャープネスや、ミラーレスならソフトウェア補正に頼りがちな歪曲収差などをレンズ単体で生真面目に補正しているのは評価すべき点ではあるが、個人的にはボケ味に進化があればなおよかったのでは、と思う。
もちろん、この安さのレンズには酷な要求だとは、承知している。




 

| | コメント (0)

«RF 50mm F1.8 STM その4