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2005年12月30日 (金)

羽越線脱線事故に思う

妙高5号をご愛読いただき、ありがとうございます。来年も引き続きよろしくお願いします。

mk

さて、今年の鉄道界は、重大な事故が相次ぎました。同様の業種にいるものとして、まことに残念であるとともに、あらためて安全ということの重要性を再認識した1年でありました。

・3月土佐くろしお鉄道宿毛駅事故・4月JR福知山線事故:状況は異なるにしても、運転士のヒューマンファクターに起因していると思われる。

それに対して、羽越線の脱線事故・・・観測される風速が規制値以内、従って現行の規定類では正常の運転と思われる状況で起きた点がショックであります。

風の力はすごいものがある、という経験はよくします。

(例)車両重量3両、120tあまり。3‰程度のゆるい下り坂で5km離れた隣の駅まで4分15秒で運転する場面。

通常なら:95km/hまで力行(加速)し、その後惰性で走行。各種の走行抵抗で徐々に速度が低下します。次の駅が近づき、ブレーキを掛けるタイミングでは、86km/h程度になります。

向かい風の強い日(通常の季節風程度):同じように力行しても、惰行に移ると目に見えて速度が低下し70キロ台になってしまいます。これでは4分30秒の運転と同等になってしまうこともあります。遅れるのを避けるには再力行することもあります。

120tを越える鉄の塊が、ちょっと強いな(電線が鳴る・・・風速14m/s以内)と思う程度の風でこれほど影響を受けるとは、特に最初の頃は驚くものです。

横殴りの風をくらうと、ふっと軽くなるようなローリングを感じることもあります。(が、恐怖を感じるようなことは、私は、今まで経験したことはありません。)

現実にある、あるところの規定では、

20m/s=木の小枝が折れる、風に向かって歩くことが困難=では特に速度規制はなされず。

風速25m/s=煙突が倒れる、家屋に軽微な被害が出る=を越えると、一旦列車を止め速度規制=25km/h以下の速度で運転する。速度規制を解除するためには連続して30分以上25m/sを越える風速を観測しないこと。

風速30m/s=木が根から倒れる。家屋に大きな被害が出る=を越えると、列車を止める。速度規制25km/hで運転再開するためには連続して30分以上30m/sを越える風速を観測しないこと。

となっています。

速度制限がきつい上に、30分経過をみるということで大きな遅れが生じます。これは安全のためにはやむを得ないにしても・・・31分目に強い風が吹かない保証もありません。

今回のいなほ14号は電車としては重い部類の車両で、すわりはいいほうだと思われますが・・・70m/sの風が吹いたという説もあり、もしそうであれば仮に停車していても脱線転覆したかもしれません。が、速度が低ければその後の被害は小さくて済むことは予想されます。運転士は自主的に120km/h出せるところを100km/h程度に抑えていたようですが、自分だったら・・・速度規制が敷かれていないのだから、許される最高速度を出していたに違いない・・・と思うと、ぞっとする。

”今までの規則では予想し得なかった自然災害”で終わるわけにはいかない。測定方法や規制値の見直しが必要なことは間違いない。お客様は、まさか列車に、再び自らの足で降りることのない人生を予期して乗車するわけなどないのだから。

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コメント

たしかに、今年は同業のゆうひぶたっくすさんには特にお辛い事件が目立ちましたね。
うちの子も最寄の電車で、いつも運転手の方に手を振り、快く応えてくださるのですが、私から見れば毎日の生命を預けている方々でもあるのだと再認識すると同時に、安全運行に感謝の気持ちをもっています。
正確なダイヤや当たり前のように目的地に着くことは、普通のようで当たり前ではなく、実に多くの方の努力で実現しているという、大変貴重なものであると改めて思った次第です。

年末年始、お仕事がら不規則な勤務もおありでしょうか。
今年も大変お世話になりました。
お忙しい年の瀬とは存じますが、よい新年をお迎えください。

投稿: Tohdo | 2005年12月31日 (土) 06:55

今回事故が起きた羽越本線は実家(新潟)の近くを通っていて、わりとなじみのある路線です。
事故原因はいろいろ報道されているようですが、ダウンバーストの可能性もあるようですね。この気象現象は、どちらかというと航空機事故のときに聞くものですが、条件によっては地上の列車などにも危害がおよぶもののようです。気流の速度は90m/secにもなる場合もあるそうですから、「列車が浮く」可能性も十分ありそうです。

>測定方法や規制値の見直しが・・
その通りですね。もともと強風の発生する地域で、運行にもそれなりの対応はされていたようですが、自然が相手の場合は常にこちらの予想通りになるはずはありませんから。
予想を超える事態があるなら、何度でも見直していくしかないのでしょうね。

年末・年始もお忙しいと思いますが、ご家族共々良いお年を迎えられますように。
来年もよろしくお願いいたします。

投稿: ich | 2005年12月31日 (土) 10:07

やはり自然の力の前には人間ごときは太刀打ちできませんね。
私たちは自分の事で済んでしまうのですが、大勢の方々の命を預かる皆さんの重圧はすごいものがあると思います。
今回の運転手さんのお気持ちを考えると心が痛みます。

私たち乗る側も不測の事態は予想してはいませんが、それは運行してくださってる方々が乗客の安全第一と考えてくださってると信じているからだと思います。
いつもありがとうございます。
ではよいお年を。来年もよろしくお願いします。

投稿: nino | 2005年12月31日 (土) 14:57

皆様:各駅停車の終点に向かう駅間を走行中に年越しになりました。
こういう業種だと、年末年始の節目、区切りという感覚が麻痺しがちです。当ブログもけじめなく更新されます(笑)

>Tohdo様

運行する側からは「安全は最大の使命」ですが、利用される側からは「安全は当然の使命」なのだと思います。
亡くなったかたの一人の関係者の談話・・・普段は車使用でしたが雪だから安全をとって列車にしたらしい・・・という話を聞いて、うーんと考えさせられてしまいました。
疑わしいときは躊躇なく安全サイドに行動がとれるようにつねにトレーニングしていかなければと思った次第であります。

ことしもよろしくお願いします。

>ich様

事故地点・・・これまでに風速の規制値に引っかかることはしばしばあったようです。10日に一回のペースとも。それまで、規制が有効に機能していたのに・・・と思うと残念です。やはりダウンバーストのような突発的な強風だったのかもしれません。
このような気象データの共有は航空のほうが進んでいるようですから、積極的に取り入れていくべきだと思います。

業界では色々ありましたが、趣味のほうではまったりと、楽しみを育てながら(笑)・・・今年もよろしくお願いします。

>nino様

自然の脅威は大きいけれど、人類は貴重な犠牲を代償に、それをかわす知恵を生んでいくと思います。
大きな事故がありましたが、私は以来、機会あるごとにお客様の顔、表情を思い浮かべることにしています。ひとりひとりのさまざまな人生をお預かりしているということを肝に銘じることにしています。

でも物欲は、そんな深刻なこととはぜんぜん別問題(笑)にょきにょき芽生えています。DA
ウオノメいいなー。f(+_+)☆\(-_-#)バキッ
ていうわけで?
今年もよろしくお願いします。

投稿: ゆうひぶたっくす | 2006年1月 1日 (日) 12:17

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