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2009年3月14日 (土)

読後感想(4)

 肉離れは、受傷して18日を数えるのだが、いまだびっこを引いている。
階段の下りもどうやら交互に足を繰り出せるようにはなったが、恐る恐るである。
登りはずっと楽なのだが。
ヒラメ筋が伸びる方向の足首の動きは、まだ痛い。

まだまだオフは家に篭もり勝ちな日々、新田次郎の「聖職の碑」を読んだ。

 ・大正2年8月26日。
 ・長野県伊那谷にある中箕輪尋常高等小学校
  高等科2年生徒25名、青年会員9名、引率教師3名。
 ・ほぼ水平な行程4里弱の後、標高差約2000mの伊那(木曽)駒ケ岳に達する山行。

 出発時は、いまひとつすっきりとしない天気だったようだが、前日から当日にかけて、近くの測候所に気象状況を複数回問い合わせている。
「低気圧(今でいう台風)は八丈島の南西海上に停滞、特に悪化の兆しはない。」
「曇りなれどもにわか雨の模様あり。」とくに登山を中止するほどの予報ではないと判断、登山は開始される。

 が、頂上が近づくにつれ、風雨は強まる。台風が急に速度を上げ、いわゆる韋駄天台風となって急速に天候を悪化させた。

 さらに悪いことには、宿泊を予定していた伊那小屋が、壊れてなくなっていた。付近の這松や装備品を使って急造の小屋を仮設するも、雨漏りもあり、疲労凍死(低体温症というべきか)者が出る。

 パニックに陥った生存者がもはや統率を失い、下山行動をするが暴風雨による疲労凍死で生徒10名、引率教員1名が死亡。

・14-5才の子供にもかなりきつい行程かと。事前に個人の体力をつかんでいれば。
・下見登山をして、小屋の破壊を事前につかんでいれば。
・悪天候、早めに引き返す判断ができていたら。
など、いくつかの たら、れば が存在する。

が、いよいよ重大な局面に達してからの、自らを犠牲にしてでも一人でも多くの子供たちを救おうとする教員たちの情愛・・・卑しくも一度は教員を志した自分としては、果たしてこんな教員になれたであろうか・・・深く思い入るものがあった。

(なお、この本の文中、伊那の知識人で島崎藤村の「破戒」を読まないものはいなかったとある。次はこの本だな・・・。)

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コメント

当時の天気予報技術を思うと、なかなか考えさせられるものがあります。
また、本県では(立山への)児童生徒の集団登山を行う学校が今でもそこそこあります。
(自分が小学生の頃は、ほぼ全学校で集団登山を行っていました)
さて、
この作品を読んで自分が思ったのは、生徒たちの(装備の)個人差が生死を分けた、ということです。
つまり、雨具や肌着の差。当時の生活水準を想像するとやむを得ない面もあったと思われます。
また、登り始めた頃は一見穏やかな天候で、殆どの者は雨具の心配をしてなかったと思われる。
さらに、いよいよ暴雨風に見舞われ遭難に至ったとき。
帽子など頭を守る物を風で飛ばされた者が死に至り、頭を守る物を失わずに済んだ者が生還できたこと。

晴天下での行程ならば全く必要もない装備品であっても、
(例えば帽子のように)たった一つの装備品が生死を分ける...ということを、
知っているか、知っていないか、が装備や天気予想術が充実した現在でも生死を分けるような気がします。

そういえば、先週も北アルプス富山長野県境付近で遭難事故がありましたね。
装備品が整っている現在は、比較的簡単に冬山へ誰でも入れることがかえって遭難事故に結びついている?
という感じを受けます。

投稿: Ken28 | 2009年3月15日 (日) 00:20

>Ken28様

 ひとつは、当時の気象予報の精度が今のようにはいかなかったことがあげられます。
しかし、現代になっても、予報の情報を的確に判断できずに(無関心な場合すらあり)、同様の事故が起こっています。
これは考えさせられる事実です。
 また、「行ってみたら山小屋がなかった!」などということは、現代では想像もできないことです。
が、行き着けずビバークは現代でもありうることですし。(ツェルトぐらいは買っておこう、と思いました)
 手袋や雨具、下着などちょっとした装備の差で生死を分ける例は、今日でもありますね。
 かわいそうなのは、めいめいの装備品であったはずの着茣蓙を、より体力のある青年や強風にとられた子ども達でした。人のことを考える余裕もなかったのでしょう(か)。

 私は以前仕事の都合で、この本の舞台となった箕輪町に数年住んでいました。
そんなわけで苗字や地名の固有名詞は手に取るようにわかりました。
 ここの地元では、教訓を生かして、今でも学校登山が行われているようです。
 この本で出てくる箕輪中学校・・・かつての中箕輪尋常高等小学校・・・で駒ケ岳登山の予備登山に選ばれている、経ヶ岳には登った事がありましたが、それですら、アプローチがそれはそれは長く感じました。
 

投稿: 豚磨 | 2009年3月15日 (日) 11:58

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