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2010年3月15日 (月)

 EM-200の自己流オーバーホール

 天気もすっきりしない日が続く。金もない。CP+にも行けなかった。
そんな日は、星より機材。
EM-200の運転中、ときおりバキッ、と異音が聞こえるようになった。
ちょっと気になるので、原因だけでもつかめるのではないかと、分解してみた。

Pulsem

 モーターを外す。

Idlerg

ウォームギヤを見る。特に異常は見られない。

Warmg

が、1:1の減速比でかみ合っているスパーギヤ(というのかな)の当たりがおかしい。
歯の当たりが蛇行している。
前回の自己流整備で、モーターを無理やり押し付けて固定したせい。
この歯車間の当たりを確保したうえでウォームホイールとウォームギヤの当たりを調整しなければならない。

 さて心臓部の赤径ウォームホイール。グリスに劣化は認められるが、一見した限りでは、歯の状態は特に悪くないように思える。
また、極軸と赤径体との結合(イモネジ2本)もガタは生じていなかった。

Wormh

しかし、周の大部分でガタがなく軽く回るようにウォームギヤの位置決めをすると、ある特定の部分で回転がひどく渋くなり、結局、わずかながらガタを許す位置で固定せざるを得なかった。以前の経緯により悪くしてしまったのだろう。
 なお、スターベース東京に問い合わせると、このウォームホイールは部品として販売してくれるとのこと。ただしお値段は3万7千何百円。。。ウォー!!
でも、これで何十万円の赤道儀が快調になるなら、交換の方向かな(とほほ)

 とりあえずは、ギヤのバックラッシュは必要なもの、という考えで無理にかみ合いをきつくしない発想で復位。


 さあ、結果は?3/12撮影。
EOS KissX3/PENTAX 75SDHF直焦点、PHD Guidingによるオートガイド

↓西に傾きかけたM41を狙ったときのガイド状況。
なんだこりゃー。むちゃくちゃ悪いorz
Dame

だが、その割りに実写は、意外にも丸い星像。(1/3程度の部分をトリミング)
ISO100、露出10分。

M41_badc_mag

気流状態が悪く、ガイド星は大きく瞬いていたから、そのせいだろうか、と今度は天頂付近のM44に向ける。
10分を予定してたのだが7分過ぎに突然暴走。
クランプを確認したが緩んではいなかった。
赤径増速指令が出っぱなしになって起こった。
構図がかわってしまって、コンポジットに支障をきたすので泣きたくなるし、星像の形からも、
これを(T T)現象と呼ぶことにしたorz

M44_tt

この時点では、原因はわからない。再起動したら、ほぼ満足な点像が得られたのだが。
そして、開き直って、10分ノータッチで撮ってみた。

M44_ng

なんじゃこりゃー。赤緯方向にながれ、おまけに、赤径のピリオディックモーションもわかる。
すかさず極軸望遠鏡をのぞいてみると、とんちんかんなところに北極星がある。
どうりでDEC方向のグラフのドリフトが絶え間ない。
この時点では、きっと、雪解けの地面で姿勢が変わってしまったのだろう、ぐらいに思っていた。
後日、追試。

逆に言うと、こんな悪条件でも、オートガイドの働きで、ほぼ満足な点像になるのは驚きであった。オートガイドの威力を逆説的に感じた一日であった。
ただし、(T T)現象だけは、解明が必要である。

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コメント

うーん、GPやGPDならともかく、厳しいですね・・EM200の自己OH。
経年による歪みや削れなど様々な要素が絡み合ってますから、個人で不具合箇所を特定するのは難しいでしょうね。おっしゃるように何十万もする超精密な赤道儀ですから、いろいろ触る前に早めに専門家に任せたほうが無難な気がします。
一度K-ASTECさんに委ねてみてはいかがでしょう?

投稿: Fuuma-mfuk | 2010年3月16日 (火) 00:23

>ふうま様

 K-ASTECさんのオーバーホール代は良心的な価格設定ですね。前からお願いしようとは思っていました。実は、そこのサイトの記事を見て、自分でもできそうな錯覚を起こしてしまいました(苦笑)
 この個体は過去に、赤径体と極軸の勘合がゆるくなる→ウォームの噛み合いが緩んだと勘違い→強引に噛み合いを強くする→ギヤ偏磨耗という経緯があり、本当のところはウォームホイールを変えないと完治はしそうもありません。
 
 実は、次エントリにあるように、今回の不調の主原因は極軸望遠鏡とリングレベルの相対的な取り付け位置ミスによるものです。この調整も専門業者にまかせたいところですが、合いマークをつけてありますので、もう一度調整にチャレンジしてとりあえずは安く済ませたいです(笑)

投稿: 豚磨 | 2010年3月16日 (火) 07:05

はじめまして。東京都在住の kaguya_san と申します。
失礼ながら、おうかがいしたいことがございまして、書き込みさせていただきます。

現在、こちらのエントリを参考に、EM-10 のオーバーホールを行っています。
しかし、分解の仕方が分からず、困っております。

現状、ウォームホイールの姿を拝めるところまで来ておりますが、
スパーギヤの蓋(?)を外すことができません。
外せそうなところはひと通り外したつもりなのですが、どこが問題なのでしょうか。

http://twitpic.com/4y0hdm
http://twitpic.com/4y0hi9

EM-200 と EM-10 で異なっているところもあると思いますが、
どうか、分かる範囲でご助言をいただけないでしょうか。

誠に勝手なお願いではありますが、よろしくお願いします。

投稿: kaguya_san | 2011年5月15日 (日) 22:27

>kaguya_san様

当エントリ本文、上から3枚目の画像のようにウォームギヤをウォームホイールから分離したいのですよね。
もちろん2本のボルトは外してありますよね。
考えられることは・・・

塗料が接着剤のように隙間に入り込んでいて、固定している。

外そうとすると、どうしても塗料が外観まで剥がれる可能性があります。キズもつくかもしれません。機材の見栄えに影響するかもしれません。
また、ギアのかみ合いは凄くデリケートです。ウォームギアとウォームホイールのかみ合いに不具合がないのなら、分解したくないところです。
それでも、分解をするというなら、覚悟がおありでしょうが、組み立てのときにも繊細な調整が必要となります。自己責任でお願いします。

本体からギアケースが離れるように、隙間に何か薄い刃物状のものを打ち込んでみる。次、ウォームギアのカバーをウォームホイールからウォームギアが離れる方向に、木槌などで軽く叩いて力を加えてみる。
D← こんな向きに。(Dはギアカバーの形をイメージしています。)

ウォームホイールギアにスラストを与えている真鍮リングも、カニ目回しなどで緩めておいたほうが安全でしょう。

投稿: keypon13^2 | 2011年5月16日 (月) 00:12

ご回答いただき、どうもありがとうございます。

なるほど。塗料ですか。ボルトは外していますので、その可能性は高そうです。
しかし、真鍮リングも固いですね。カニ目回しの先端が曲がってしまいましたが、それでも緩みません。
ここを開けるには、どうやら手持ちの工具だけでは不足のようです。

コントローラーからの反応の悪さが最近気になっていまして、
グリスが古くなったことが原因かと思っていましたが、
リスクを考えるとやはり悩んでしまいますね・・・。

よく見ると、隙間が空いているので、ノズルを差し込んで、
スプレータイプのクリーナー/グリスで代替できないかを、まず試してみようと思います。

投稿: kaguya_san | 2011年5月16日 (月) 01:29

お世話になっております。

結局、好奇心に負けてウォームギアを外してしまいました。
ご助言を参考に、マイナスドライバーを隙間に押しあて、木槌で叩くことで外すことができました。
カニ目ネジも、交互にマイナスドライバーを当て、木槌で叩いて緩めることができました。

外れたときは思わず声を上げてしまいました。本当に、どうもありがとうございました。

さて、大変恐縮なのですが、もう一点わからないことが出てきてしまいまして、
お手数と存じますが、どうかご助言いただけないでしょうか。

ギヤの調整についてなのですが、3 枚目の写真の上下方向にしか動く機構が見当たりません。
カニ目ネジの締め付け具合で、上下方向を調整するということなのでしょうか。

よろしくお願いします。

投稿: kaguya_san | 2011年5月21日 (土) 00:44

>kaguya_san 様

 おお、ついに禁断のカバーを・・・。勇気ありますね(^^; という冗談はさておき、

 以下、EM-200の場合ですが。かみ合わせを直す前に、確認しておきたいことがあります。
(極軸望遠鏡の入っている)軸と、モーターの入っていた軽合金製の「体」の嵌りにガタはないでしょうか。
http://shinshu-no5.cocolog-nifty.com/expshinshu/2005/06/em200_53a2.html
↑この記事の5番目の写真。
ここにガタがあると、いくらギアの噛みあわせを直してもうまく行きません。
これがOKという前提で、復帰のお話をします。


1.まず、画像上から3番目のウォームギアが、単独で、軸方向にガタなく、回転が渋くならない範囲で、真鍮のリングで締めます。
(EM-200の場合、ベアリングが入っています。)ここのガタがあると、ウォームホイールとウォームギアがいかに神あわせが良くても、ガタが生じてしまうのは、想像に易いと思います。
2.画像3のウォームギアケースを、2本のボルトで「体」に取り付けるわけですが、締め付けない状態ではボルトに対しケースの穴が大きいので、上下左右にある程度動かせるというか、融通が利くはずです。動く程度に軽くボルトを仮止めします。
3.カバーの形状をDにたとえるとき、Dの上辺(底辺でも同じ)の面を、体の面とツライチにします。
4.3の関係を保ったまま、今度は、Dを左右に動かすとウォームギアとウォームホイールのかみ合わせの強さが加減できます。これも、体の中に少し顔を出しているスパーギア(ウォームギアと同軸の真鍮の直歯ギア)を実際に手で回してみて、ガタなく、渋くなくの位置を見つけます。ボルトを本締めすると微妙にかみ合いが変わることがありますので、緩めて何度でも試行します。
5.最良の位置が見つかったら、ボルトを本締めして、ウォームホイールが一回転するまでウォームギアを(スパーギアを介して)手で回して、ムラのないことを確認します。だめなら、納得がいくまで3、4、5を繰り返します。
これで、かみ合わせに関しては完成です。

と書いておいて言うのもなんですが・・・精密な赤道儀なので、最良の結果を得るなら、やはりタカハシ(スターベース東京)持込がいいと思いますよ。正直に話せば、社外分解についても嫌な顔をせずに、親身になって直してくれると思います。

投稿: keypon13^2 | 2011年5月21日 (土) 12:34

keypon13^2 様

お世話になっております。
とても分かりやすい解説、どうもありがとうございます!

勇気というより、無謀とはき違えているという感じです(^^;

極軸と体に、ガタは見受けられませんでした。まずは、問題なさそうです。

そして、なるほど…。ボルト穴の遊びを使って調整するんですね。
教えていただいた手順で調整してみましたが、とても微妙で難しいですね。

精度を確保するために、タカハシ持ち込みも検討したいんですが、
実は、今回の分解によって、ウォーム軸に大きな傷が 2 箇所あることがわかりまして、
修理費が結構かかってしまいそうな気がしています。
(耐荷重量を大きく超えて運用していたためか、転倒させてしまったことが原因か、わかりませんが…)

金欠のため、しばらくは、現状を騙し騙し使うことになりそうです(笑)。

色々ご助言をいただきまして、どうもありがとうございました。

投稿: kaguya_san | 2011年5月23日 (月) 01:52

>kaguya_san様

大変、お疲れ様でした。

>金欠のため、しばらくは、現状を騙し騙し使うことになりそうです(笑)
私も同じです。同志ですね。いつかは、きちんと整備させてあげたいのですが(^^;

投稿: keypon13^2 | 2011年5月23日 (月) 21:37

突然で申し訳ありませんが1点教えていただきたいことがあります。ある問題が起きて、EM-200を分解する必要が生じました。とりあえず簡単に外せる部分から始めましたが、上から3番目の画像にある、ギアボックスを兼ねたカバー金具を外す必要があります。ボルトを抜いても外れないのでタカハシに問い合わせたところ、瞬間接着剤で留めてあるそうです。そこで接合部に注射針を当ててアセトンを少々注入してみましたが、それでも外れません。掲載されている画像を拝見したところ、左側の淵に塗料が剥げたような部分が見えますが、その部品を外された際に、実際にはどのような措置をされたのでしょうか?ご多忙中すみませんが、よろしくお願いします。

投稿: EKt | 2014年9月20日 (土) 12:46

>EKt様

 実は、私の個体は中古で、推測するに落下などの大きい衝撃が加わり、それを裏付けるかのように赤経体と極軸を止めている芋ネジも緩んでいました。接着剤が剥離してしまったと推定されます。(確かに塗料の剥げたような跡がありますね)特にこの部分の取り外しに難儀した記憶が無いのです。ボルトを外しただけで、普通に分かれてしまいました。説明書には「メーカーズアジャスト」で外さないように旨の記載があったように思います。お答えになっていなくてすみません。

投稿: keypon13^2 | 2014年9月21日 (日) 15:22

はじめまして、新潟のtyoともうします。

古いEM200が最近追尾しなくなり原因だけでも突き止めようと、こちらのサイトを拝見しておりました。
しかしウオームホイール部とスパーギアの分解の仕方がどうもよくわかりません?(写真の3枚目と4枚目)
失礼でなければご指南いただきたいと思います。宜しくお願い致します。

投稿: tyo | 2016年11月17日 (木) 03:19

>tyo様

放置ブログで、時々しか見に来ないので(苦笑)、レス遅れてすみません。
実は、もう私もよく覚えていないのです。
覚書として
http://shinshu-no5.cocolog-nifty.com/expshinshu/2005/06/em200_53a2.html
を当てにしていたのですが、自分で消してしまったようですorz

大づかみに思出せることは、
まず、極軸望遠鏡を使う時毎回ねじって外すカバーを外すと見える、二つの穴にカニ目回しをはめて回してお尻の出っ張りもの(後ろ)を外す→極軸を体から外す・・・ことから始まります。
この時点で、極軸望遠鏡のスケールパターンの位置の再現性が無くなります。
(自分は何となく勘で組み立てました。最初てんでおかしい位置に組み付け、ダメダメ追尾でした。もう、この段階ででお勧めできません。)
極軸を体から抜いてしまえば、3番目の写真の部分は、六角レンチでボルト2本を外せば、軸から外れます。外すことは簡単ですが、これも、噛み合いを決める微妙な位置関係にあります。当たりのいい位置関係を出す調整はものすごく根気がいります。
正直、今自分でやる根気はないです(苦笑)
私のEM-200は、というより天体観測活動は、ちょっと休眠中なのです。
お答えになっていなくてすみませんm(_ _)m

投稿: keypon13^2 | 2016年11月25日 (金) 13:57

カニメを購入して、えいっ!と極軸を外してみました!
何とか分解出来ました🙆
赤経部のベアリングが片方固着していました😅
新品に取り替えて、スムーズに回転するようになりました\(^-^)/
勇気ある?ご回答有り難う御座いました(^^)/~~~

投稿: tyo | 2016年12月 8日 (木) 12:40

>tyo様

不完全な情報しかお伝えできなくて、すみません。
遂に敢行されたのですね。
結果オーライでなによりです!

投稿: keypon13*13 | 2016年12月 9日 (金) 10:36

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