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2010年8月22日 (日)

気ままなエンジン談義(9)

 サブロクのベニヤ板、それで作った犬小屋程度の大きさのスピーカーボックスを運ぶ程度であれば、ライトバンやステーションワゴンで充分なのだが。実際、後年わかったのだが、FFジェミニの3ドアHBでも用は足りたのだ(笑)当時知り合いの高校の先生が乗っていたスプリンターカリブは、野球部応援用の太鼓もつめるし(笑)

しかし、いすゞという選択肢の中で次にとった行動は・・・。

 いすゞビッグホーンirmscher S、5MT。ついにクロカン4WDに手を出してしまった。

それまでデザイン的にはいいセンスを持ちながらも、非力なエンジンしか用意できなかったばっかりに、ライバルの三菱パジェロに、ライバルとも認識されないほどのあわれないすゞビッグホーン。
それにディーゼルでありながら3桁馬力の新エンジンが載ったとなれば、これは賞味してみるしかない。(と当時は短絡的に考えた)

そのエンジンは、
4JB1-T(インタークーラー付ターボ)、2771cc 4気筒直噴ディーゼルエンジン。
115PS、24kg-mを誇った。

しかも、このエンジン、当時直噴式ディーゼルではもっとも小排気量でありながら、乗用車排ガス規制をクリヤして5(3)ナンバー登録を可能にした画期的なものだった。

長いローンを組んだ。

さて、そのフィーリングは。
西独イルムシャー社のチューニングの手が入り、ハンドリングはさすがにファーゴバンよりは格段にいい。


さて、その注目のエンジン。

・始動。今までの過流室式のディーゼルでは、たとえ真夏でも、冷間時は必ずグロー予熱のお世話になるが、直噴式の本機は数℃くらい以上なら、冷間時でも予熱なしにすぐ始動できる。これはとても不思議な感覚だった。そして、アイドル時のノック音は、直噴式=トラックというイメージからは思いがけなく静かと感じた。

・暖機 ところが、かかりははいいが、暖機性はよくない。目がシバシバするような青い煙が出たり、刺激臭がする。いすゞも承知していたとみえて、暖機スイッチなるものが用意されていた。吸気と排気に絞りを入れて、わざと熱損失を大きくして暖機を促進するものだ。まあ、これもマニアックでいいと思った。

・ドライバビリティー

2771ccという排気量のディーゼル、115馬力というスペック、クロカンということで太くて粘るトルクを想像したのだが、ところがどっこい、薄味。
ターボが常に有効ゾーンに入っている高速道路の登坂などはさすが額面通りのパワーのゆとりを感じた。
しかし、ワインディングでは、
ターボが案外高回転重視でセットしてある。ラグがかなりある。
ターボゾーンを外すと、ことのほかひ弱でぐずぐずしてしまう。
パワースペックでは劣っているはずのパジェロの2.5Lディーゼルターボに、0-400mでタイムが負けたのもショックだった。(某雑誌計測による)
これは、当初大きな失望であった。よさがわかって慣れるまでかなり時間を要した。

これは、排気量で稼ぐ地力が増えたので、減速比が小さい(ハイギヤードな)設定とも関係がある。

よさもある。
踏み始めのアクセルレスポンスがいい。過流室式のような初期の鈍さがない。
普通に0-40km/hを加速するようなタウンユースでは、
「エンジン自身のトルクはありハイギヤード」は「エンジン自身のトルクのなさをローギヤードでカバー」よりすんなりとストレスなく加速するし、タイムもよい。
また、ミッションから直接出ているシフトレバーは、コクンコクンと気持ちよく決まる。
ギヤを先読みしてチェンジし、うまく操れば、楽しく付き合えることがわかった。

なお燃費は、この種の車としてはすこぶる良好だと思う。
常用で11-12km/L、紀伊半島を流すように走ったときは15.7km/L・・・さすが直噴式ではあった。

・EGRと黒煙
このエンジンは、排ガス対策のむずかしい直噴ディーゼルでありながら、乗用車登録を可能にする仕掛けがあった。その大きな役目はEGR(排気ガス再循環)にあると思われた。排ガスの一部を吸気側に戻し、比熱を大きくし燃焼温度を下げ?空気過剰率を小さくし?NOxの生成を抑制するもの。
暖機が進まないうちは、これは働かない。ある程度暖機が進むとこれが機能するのがはっきりとわかった。
ガラガラというノック音は小さくなって、ガソリンエンジンのようなシューンというような加速感に変わる。しかし、あまり踏んでいないのに、濃い目の黒煙が出ているのがわかる。これはけっこう萎える。NOxは減るのだろうけど、代わりに黒煙が増えたのでは。自分の住んでいるような田舎では、むしろ完全燃焼して黒煙の少ないほうがいいのでは?
EGRすることによって燃費もいくらか落ちる。まあ、いまの新世代ディーゼルのように黒煙とNOxを両方低減できればそれがいいのだが。
当時の、わが国の、排ガス規制の矛盾を感じた。

実は、この車は自分の自家用車歴で途中別の車をはさんで、別の個体で2回乗った。そうとう気に入ってはいたようだ(笑)

ショートは5ナンバー枠で最小回転半径4.8m、ELFで鍛えた、シリンダライナ交換式の耐久性の高いエンジン。ベニヤもスピーカーボックスもつめるしスキーにも余裕をもっていけるし、実用燃費もいいし、操縦していて面白い。弱点は、4人しか乗れない、排気量が大きいので自動車税が高い。遮音性は良くないし、エンジンの特定の回転域でこもり音が生じる。が致命的だったのは、嫁が、排気煙の濃さがいやだと言い出したこと(苦笑)。ここから、自分には不本意な車選びが始まる。

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