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2012年10月23日 (火)

フルレンジスピーカーBOXの設計・製作(4)・・・設計編その1

 小さめの箱で作ったつもりなのに、大きめな箱で低音欲張ったような空気デブ。
なにか落とし穴があるのかもしれない。

 基本に戻って、数値的な計算をしてみよう。
まずは、密閉箱に望ましい容積の計算式を探してみた。

 密閉箱は、バネに重り、それをダンパー(メカニカルな抵抗)で制動した振動系となる。
重りをバネでつるすのだから、ゆすれば共振周波数で振動したがる。

 実際には、
 バネ:スピーカー自身のバネ系と密閉箱によって作用する空気バネ効果の合成
 重り:スピーカーの振動系の等価質量mo
制動:スピーカー自身のダンパー、ボイスコイルと磁気回路による電気ブレーキ効果など
 

 ラジオなら、いろいろな周波数の電波の中から聞きたい局の周波数だけを取り出したいから、特定の周波数だけに共振し、他局の周波数には感じない特性が求められる。
この度合いを、共振の鋭さQ(Q=qualityの意味がこめられている)という。

 しかし、オーディオスピーカーでは、Qはやたら大きくても困るのは自明だし、小さすぎると低音が弾まない。、ある適正なQが求められる。
 箱に閉じ込めたときのQをQocと表すと、Qoc=0.7のとき、低音部の周波数特性の肩が適正になるという。

Qoc>0.7なら、低音の周波数特性にピークを持つ
Qoc<0.7なら、低音がだらさがり、弾まない低音



さて、密閉箱の容積V[ℓ]を求めてみよう。

まともなオーディオスピーカーなら、スピーカーユニット単体の定数が、カタログに示されている。数値はFF85Kのもの

最低共振周波数fo[Hz]=125
等価質量mo[g]=1.8
実効振動半径a[cm]=3
共振の鋭さQo=0.47

すると、エクセルの数式風に記述すると、
V=355*a^4/(α*fo^2*mo)

さて、ここでαなるものが未知数だが、さきほどのQocとQoで表して、
α=(Qoc/Qo)^2-1
と定義される。

望ましいQoc=0.7だったので、このスピーカーの場合、
α=(0.7/0.47)^2-1=1.218
となり、Vは確定する。

FF85Kの数値を代入してみると、V=0.84[ℓ]と、ずいぶん小さな箱になる。
ラジカセに押し込んでも、案外ご機嫌な音になるわけだ。

また、このときの最低共振周波数foc[Hz]を求めると、

foc=fo*(Qoc/Qo)=125*(0.7/0.47)=186Hz

となり、密閉箱では、当然ながら、ユニット単体よりも高い周波数に移行する。
これ以下の周波数帯の低音の再生にはあまり期待できないわけだ。
ただし、過渡特性に優れた締りのある低音が得られ、捨てがたい一面もある。

またQoが0.7以上のユニットは、Vの式の分母がやばくなり、少なくとも計算上は密閉式に向かないユニットということになる。

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