連続長秒時のダークノイズ、EOS Mはダメなのか?
天文およびカメラ雑誌のいくつかのレポートを見ても、繰り返し長秒時をしたときのEOS Mのダークノイズについては、芳しい結果ではない。小型化をやりすぎて放熱が苦しいのだろうか。やはりダメなのか、どのくらいが限度なのか。同社のレフ機とどう違うのか、知っておいてもいいかもしれない。
室温14℃、ISO1600、5分、長秒時NR・高感度NRともにOFF、WBは太陽光で、コマ間は5秒の間隔ですぐに次を写していった。どんどん熱が溜まって、ダークノイズで真っ赤になってしまうのか?
5分で12コマ繰り返した。比較に、APS-Cのレフ機KissX2と、フルサイズのEOS 5D2も比較してみた。
合計1時間あまりの通電で、普通の撮影からしたらクレージーの域かもしれないが、天体ではごく普通にありうる条件だ。
フォトショップでヒストグラムを表示してみた。
すると、一回目(1st)から二回目、三回目と通電を重ねるに従い、ダークノイズが増えていくのがわかる。3回目ともなると、EOS M全体がほんのり暖かい。
が、それ以降は、ノイズの増加が比較的緩慢になり、12回目の通電でも3回目とそう大差が無いのは救いかもしれない。
次はKissX2
いままでの使用からして、ダークノイズ関係は信用を置いているのだが、EOS Mと同様、回を重ねるごとにダークノイズは増加しているはむしろ意外。
詳細に見ると、EOS Mと分布は異なる。明るい部分の裾野が広がってくる。
次は、フルサイズのEOS 5D2
フルサイズセンサーだって、熱ノイズの原理は変わらない。やはり、回数を重ねて熱を帯びるとノイズは増えてくる。が、ボディに余裕があるせいか、3機種のなかでは一番ノイズが少ない。次に、実際のノイズ画像で比べてみる。各機種とも、全画面の右下隅・・・縦横とも1/10(面積で1/100)の部分を切り抜いたもの。
各機種とも左は一回目の露出、右は12回目の露出。
下は、上の画像をレベル補正で強調したもの。
うーむ、やはりEOS Mが一番バックグラウンドが明るくなってしまう。
しかし、レフ機にも同様の傾向はある。
ステライメージで何枚もコンポジットするような淡い対象の撮影も・・・高冷地の戸外なら、案外使えるかもしれない。
直焦点ならもともと機材も重いし、レフ機で十分というのが相場。メーカーもよもやEOS Mでこんな撮影を想定していないかもしれない。でも、小型軽量の機材でどこまで頑張れるかは興味深く、思ったよりは善戦しているといってよいのではないだろうか。
雑誌のテストとは違って、買ってしまったからには使いこなしたい。長所を見つけてあげたい。一方、持っていない他社機のことは良くわからない。空の色むらが多いと評されたが、ノイズ以前に案外ホワイトバランスの傾向とか、違う要因もあるに違いない。
EOS Mでこのような長秒時撮影でひとつ気になるのは、バルブ撮影時液晶モニターが点灯してしまうこと。電池の消耗を考えると切りたい。INFOキー押しで消灯できるが、シャッター開き後に、物理的ストロークのあるスイッチを押さないと消せない。これでは、直焦点ではぶれてしまう。
連写モードでシャッターを押しっぱなしにしたときもそうだが、電池消耗を軽減するため、設定でモニターON-OFFができるように、改良をお願いしたい。
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コメント
いつものことながら、分かりやすく長秒露光ノイズを表現していただき、とても参考になります。
(とはいえ、新しくカメラを買うために、というわけでないのであれですが...)
4年前?初のミラーレス一眼E-P1が出たとき、思わず飛びついたものの、あまりの長秒時&高感度
ノイズの酷さに閉口した記憶がまざまざと蘇ってきました。長秒時NRは必須でした。バルブ露光可
になっているので、当然ある程度対策をしてあると思いこんだのが失敗の元でした。メーカーは、
NR-on撮影前提にしていたようです。その点、EOS-Mは間違いなく合格点に達していると思いました。
これらのタイプは、軽量・小型を特徴の一つとして掲げていますが、だからといって=簡単、容易
=機能省略?ではないと考えますので、少なくともレンズ交換をうたい文句にするなら、もう少し
ヘビーな要求に耐える仕様であってほしいと思うのであります。(やっぱ商的には不要なのか?)
否、光学製品入手の見込みも立たない無い者が書いても始まらないですね。失礼しました。
投稿: 龍吉 | 2013年4月 4日 (木) 21:56
EOS-Mの開発者インタビュー(だったかな?)でもKissシリーズの棲み分けという言い方をされていましたが、より広い撮影領域という要求には一眼レフを、ということなのでしょうね。
それでも星景写真などには十分なスペックだと思いますし、アダプター使用でのレンズ遊びも対応範囲が広くて楽しそうです。
Kissといえば最新の X7は、軽量なボディに加えてタッチスクリーンなどの今風の機能にも対応する一方、ファインダー倍率が向上したり、他では省略されがちなレリーズケーブル端子も装備しているなど、なかなか魅力的だなと思います。
まあ、私も星撮りを含めてK-5で大きな不満は無いので、すぐに手を出すつもりは有りませんが。(^^;
投稿: ich | 2013年4月 7日 (日) 08:22
>龍吉様
レスが遅くなりまして、大変申し訳ありませんm(_ _)m
EOS Mに対して、雑誌テストなどの先入観が先行していて、自分なりの使用条件でどうかをしっかり調べてないことに気づきました。
思ったほどは悪くは無いけど万能でもない、レフ機と適材適所ということになります。
車で運べるような場合はミラーレスにこだわらなくても、レフ機の明快なファインダーで能率よく撮影すればいいですし、山に担ぎ上げるような場面ではミラーレスをうまく使いこなす、という当たり前の結論になりました。
EOS Mには、注文はいろいろありますが、使いこなしで(星的には)信頼に足りる相棒と判断しました。
大きくすれば熱的にもバッテリー容量的にも満足度は高まるでしょうけど、レフ機にも小型軽量を究めた機種が出てくると、ミラーレスの存在価値そのものも怪しくなります。
というか、あまり後継機にいいのがすぐ出ると、買い替える予算はまったく無いので、Canonにはじっくり開発して欲しいです(笑)
>ich様
ミラーレス一筋に邁進しているメーカーと、レフ機を得意としていて、ミラーレス参入ビリのメーカーとは、ミラーレスに対する位置づけというか熱意が違うように思います。
EOS Mには、かつてのPENTAX機のようなもどかしさを感じることがあります(苦笑)
いままでいろいろな機種を浮気して、感謝や愛着をもってじっくり使いこなしたりもせず、気に入らない点があるとすぐ機種入れ替えなど繰り返してきましたが、ここへきて「年貢の納め時」を感じるようになりました。それがPENTAX機でないところで落ち着いてしまったのは、何かの間違いなのですが。
X7はフィルム時代のME、MXのような小型軽量に対する執念を感じます。天文部としては熱ノイズ的にどうなのかは少々気になるところではありますが・・・。
投稿: keypon13^2 | 2013年4月 7日 (日) 21:53