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2014年3月19日 (水)

30年かかった、似非金田式からの脱脚

 '81年の金田式通算No.51の30W A級アンプを手本に、入手トランスの関係で出力段の電源電圧を±30V (40W相当)にしたものを使ってきた。

Kaneta_no51kai_c

 ドライバTrには、本来C1161/A653が指定されていたが、A653は当時でもすでに入手は困難を極めた。MJ誌の製作記事には代用Trとして、C2239/A969を活字として示していた。
雑誌の製作記事としてパブリックに表示のある石だから、大きな問題はないだろうと、藁をつかむ思いで東芝のC2239/A969にすがった。
しかし、金田氏当人は、この代用を好ましく思っていない。後の製作記事に「高音が詰まり、低域も躍動感に欠けウッドベースの音色の変化は再現できず・・・、 音像が一ヶ所に集まり前後感がなくなってしまう。」・・・もはや育ててきたDCアンプの音ではない旨の意見を述べているのだが、知らぬが仏?いや、知っていれば、もっと早くに手を打ったに違いない。
  そして、「他の石を使うくらいなら、(次善の策ではあるが)C960/A607を使って欲しい。これなら、DCアンプの音が出る。」とも言っているらしい。

 うんっ?その石なら家のどこかにあったような気がする。うん、あったぜぃー。
30数年ぶりに基板を外してみると、うへっ、ばっちい(苦笑)

Kaneta_no51kai_be

お掃除すると、

Kaneta_no51kai_be2

やっぱり古い東芝のロゴの入った代用の石だ。基板外下は、金田氏認可のC960/A607。
足がポロッと折れてしまわないように、細心の注意を払い、移植する。

Kaneta_no51kai_af

電圧増幅にはかかわらないドライバー段の石の変更・・・こんなんで、音が変わるのかななぁ??

 なお、AB級アンプについていた完全プッシュプルドライバーが、なぜかこの基板には生きていた。当時のAB級アンプの金田式では必須のパーツであるが、そんなに良いものならばA級にもつけておけば良いのに、氏もA級の回路にはつけていない。何らかの音質的影響があるに違いない、と考え、今回は外した。

 さて、本器の音:
優しい、みずみずしい、爽やかな音になった。
低音も、今まで聞こえていなかったうねりや揺らぎみたいなものもしっかり聞こえるようになった。
いままで、金田式は駆動力はあるが、肩を怒らせたような音・・・シャープネスを強くしすぎた写真のように中高音が荒っぽいのが特徴・・・と思っていたのは完全に誤解だった。

 この荒っぽさは、どこから来るのだろうと長い年月、悩んだ。
・出力段の安定化電源だろうか
→非安定を直接印加・・・暗く、引っ込み思案な音。金田式のメリットなし。
→OPアンプ709電源に退行・・・No51の超高速電源のほうがずっと良い。
・バイアス安定化用に使っていたダイオードHV23Gの撤去
→若干アイドル電流の安定性は低下するが、音は柔らかさを増した。でもまだ荒さは払拭できない。
・指定ではA566を使うべき電源の制御TrがA969であった。後に奇跡的にA566は雑誌の売ります買いますコーナーで入手できる。
→A566にすると、フルーティーでみずみずしく明るくなった。
・LUXKIT 501を対抗に作ってみた。
→まだ似非状態の金田式のほうがキック力、音の鮮度で勝っていた。
・入手可能で高周波特性に優れたTrで構成したまね田式アンプ
→女性コーラスやバイオリンの弦のきめ細かさ、優しさではまね田式が勝っていた。が、制御力では到底及ばない。


と30有余年が経った。
すべて金田氏指定のTrで構成できて、満足行く結果が得られ、漸く、ひとつの区切りが付いた。

この間、
学生→独身社会人→配偶者→子どもも生まれる→その子どもにオーディオ評論(ダメだし)をされる→改良のテンポは確実に上がってきた(笑)

 

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コメント

埃だらけの基板は可哀想でしたね。私は金田式をなんとか作ったものの、小泉スピーカーが壊れるのを恐れるあまり
あまりつないでいません。今はbakoon ampの生々しさに惹かれて部品あつめに奔走です。若い頃に名古屋のミズホオーディオで井上スピーカーを耳にして、仰天しました。6半のspが地を揺るがす音を立てていました。でも、今はオーディオ業界からのけものにされて、井上氏もひっそりととなさっているようです。都合の悪いことは村八分というのは証券業界だけではなさそうです。KEFスピーカーの元祖に当たる方は井上理論から学ばれているそうですね。道理でsp単体で剛性の強い素材を使っています。

投稿: woolfy | 2019年5月 8日 (水) 17:54

>woolfy様

大変長い間放置してしまいすみませんm(_ _)m

金田アンプにもそれなりの音の”説得力”を感じて、信じてまいりました。
いまだに現役で鳴ります。
が、去年の今頃から、私は真空管アンプ(3W+3Wのミニワッター)とシングルコーンスピーカーに走ってしまい、
この金田式にはほとんど通電なしです。
何というか、もう耳そのものがバンドパスフィルター(笑)になってしまい、そのほうが心地よいからです。
昔の自分には信じられない展開ですが、オーディオはやはり面白いと再認識しています。

投稿: keypon13^2 | 2019年5月28日 (火) 19:16

はじめまして 私も ミニワッター6DJ8を作ろうと思っていますが 金田アンプを作っていると出力トランスに経費をかけるのがもったいない
として躊躇しています そんなにケチらなくても良いのですが出力トランスが音を悪くする?ような気がして踏み切れません
ぺるけさんのイコライザーとラインアンプは作って金田アンプのパワーで聴いています
年とともにスモールに纏めたいということもあります 大きなSPも片付けないといつまでもオンケンのSPに依存してもいられない
ように考えています
そちらさまで聴いた金田アンプvsミニワッターのもう少しリアルな感想の書き込みを期待するものです 勝手を申し上げて恐縮です
よろしくお願い申し上げます。
http://ph7dc.but.jp/dc_amp/eqAMP-forMM.html

投稿: ph7 湯川 剛 | 2021年12月13日 (月) 14:45

>ph7 湯川 剛様

大変長い間放置してしまい、失礼しましたm(__)m

私の金田式アンプは、製作から40年を経過し、正統な音を出しているかわかりません。

数年前にスピーカーとしてヤマハのNS-1000 MONITORを中古で入手しそれで鳴らすと、
金田式の良さが体感できました。

金田式 重く湿りがちなセンモニの低音がキック力と締まりをもって鳴ります。
    高音も、ベリリウムツイーターの色気というかカラーレーションが無くなり、リアルな音になり驚きました。
    音楽のエネルギーを伝えてくる。
    ただ、ある種聞き疲れすることがあるのは、なぜだろう。

ミニワッター真空管
    低音がボケる 丸い 
    高音 それなりにきれいに出る。でも最高域は出ていない。やはり、バンドバスフィルター。
    ただし、音の純度は負けていない。能動素子の数が少ないせいか、いろいろな楽音や声が重なってもうるさくならない。

やはり、スピーカーを中心としたアンプ以外のクオリティーが上がるほど、金田式は正しい音を出しているのだな、と実感します。
逆に、スピーカーのクオリティーがいい加減だと、その欠点も増幅するのではないか、ところが金田式ではないかと思います。

今は、金田式もミニワッター真空管式もあまり使っていません。
シングルコーンのフルレンジをバスレフやバックロードホーンで鳴らすのにアラを強調しない、
出力段非安定の、A級20+20WDCアンプ 初歩のラジオ1980年7月号製作記事のものを好んで使っています。

投稿: keypon13^2 | 2022年1月13日 (木) 12:31

申し訳ありません
書き込みはしたもののそれを探し出せなくて困っておりましたが 今般ようやく発見しました
アドレスをメモしたはずが見失いました 失礼しておりました
金田式と
ミニワッター真空管の
ご丁寧なご回答恐れ入ります 私もそのように感じていました 特に「スピーカーのクオリティーがいい加減だと・・・」
の件(くだり)は、なるほどと目から鱗が剥がれました たしかにそのとおりだと感じました
初歩のラジオの製作記事気になりますが、あまり手を広げても元に戻せなくなりそうで そのうちどのような回路なのか
探してみます 製作者様の言うことには説得力がありますから参考になります
どうもありがとうございました 失礼します。

投稿: ph7 湯川 剛 | 2023年3月27日 (月) 20:52

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