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2021年2月20日 (土)

CF-1900の修理(6)

1973年製のラジカセ、SONYのCF-1900。
ジャンクでヤフオクで手に入れて整備し、今年で5年目。
Cf1900_1
途中パチパチノイズに悩まされたが、カセット部メインスイッチの交換で、嘘のように収まってしまった。
その過程でモーターがノイズ元ではと、他機種CF1150のモーターを”心臓移植”して、(都合3個イチ)ほぼ快調に使えてきた。

しかし、以前からあった、現象2つが最近ひどくなってきた
・RADIOをOFFした時TAPEの再生音が出ない、雑音に埋もれる。何回もRADIOをON/OFFしてやっとTAPEが鳴るようになる。
・録音ボタンを押してもRECメーターが振れない。何度か押してRECメーターが振れるようになっても、実際録音を始めて何分か経つと、いつの間にかフェードアウトして、録音がされていない(非常に小さい音でしか記録されていない)

原因は承知していて、愛しのCF-1900が不調 ( ;∀;): レレレの星おじさん (cocolog-nifty.com) 過去にも手を入れていたのだが、姑息術に終わっていた。
ここは一念発起して録再切替およびラジオテープ切替スイッチ連の根本治療をしてあげよう。しかし、しくじればすべては終わる。
まず、裏蓋を開ける。
黄色〇で囲った短いほうがラジオ/テープ、長いほうが録/再切替スイッチ連
Cf1900_2
これらを、半田吸い取りリボンで、パターンを剥がさないように慎重にはんだを除去して取り外す。
Cf1900_3
取り外したスイッチ連を金属の爪を起こして分解する。
Cf1900_4
特に両端の接点が黒く酸化しているのがわかる。
また、録再切り替えのものは、可動接点の両端2つずつが足2本(ノンショーティング)、中央6個が足3本(ショーティング)であることに注意。
Cf1900_5
可動接点を外してみると、黒変部位がはっきりする。
これを、綿棒に無水アルコール(入手できなかったのでエタノールで代用)をつけてそっと丁寧に清掃する。
Cf1900_6
清掃後。固定接点はきれいになった。可動側は、”触らぬ神に祟りなし”でそっと戻した。ご自身の摺動で自己研磨されるだろうから。
ラジオ/テープ切替についても同様。
Cf1900_7
なぜか同じく、両端の端子が特に酸化がひどい。
Cf1900_8
清掃後の端子たち。
これをソオッと元のハウジングに収めて復元。
そして、基板にはんだ付けし直し。

さて、どうか。
ラジオを聞いて戻した後、テープ再生。なんの不自由もなく再生。
録音は・・・これも普通にOK。
当たり前のことがありがたい。

おりしも、

みんなのうた60

NHKみんなのうたが始まって60年の年だという。そんなおいらも還暦の年だが。

懐かしい歌が、またこの懐かしい機器でリアルに聞ける。
音声のみが残っている曲は、中波のラジオ第二でのみ放送という。
さっそく”エアチェック”してみた。今ならデンスケとか、いやもっとHi-Fiなデジタル録音媒体もあるが、あえてCF-1900のソニオマチック自動録音で撮ってみた。
もっとひどい音かと思ったが、意外といける。現行のラジカセ普及品より走行系が安定していて、だみ声にならないのが良い。
もちろん本当のHi-Fi記録に比べれば「懐かしさ」というバイアスがかかっているが、製造から48年という歳月を考えれば奇跡に近い。

放送も機材もみな懐かしい。これはもはやタイムマシンである。

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2021年2月16日 (火)

RF50mm F1.8 STM その5

ボケ味を見る
RF50mm F1.8 STM開放
Rf5018bokeh1

EF50mm F1.8Ⅱ開放
Ef5018bokeh

フレアの違いでわかりにくいが、ボケ量の少ない所で若干うるさい二線ボケ傾向なのは、両者よく似ている。
RFは、シャープネスや、ミラーレスならソフトウェア補正に頼りがちな歪曲収差などをレンズ単体で生真面目に補正しているのは評価すべき点ではあるが、個人的にはボケ味に進化があればなおよかったのでは、と思う。
もちろん、この安さのレンズには酷な要求だとは、承知している。




 

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RF 50mm F1.8 STM その4

星景で見てみる
F1.8開放 周辺減光、歪曲、色収差、回折補正無し
Rfori5018non

F1.8  周辺減光、歪曲、色収差、回折補正あり(カメラ内自動補正)
Rfori5018

左下隅の補正(上)補正無し(下)の比較
Rfseiyamagyn5018
星の位置がほとんど変わっていないことから、歪曲は補正無しでも元々とても小さいことがわかる。
コマ収差には各種補正は無力であることがわかる。
コマ収差がカメラで補正できたら、レンズの在り方も随分変わると思うが、光学の力で補正してほしい気もする。

対象物が違うので比較が難しいが、EF50mm F1.8Ⅱの画面左下隅の歪曲、色収差の補正、非補正を同様に比較してみた。
上補正、下補正無し
Ef5018yn
非補正だと若干画角が広くなり、たる型の歪曲があることがわかる。

RF50mm F1.8に戻り、F4に絞ったもの
F1.8と露光量を同じにするため、露出時間を長くしてあります。
レンズ収差補正無し
Rfori5040non

カメラによるレンズ補正あり
Rfori5040


左下隅の拡大
補正あり上、補正無し下
Rfseiyamagyn5040
星が流れているのは、ポタ赤の極軸据え付け精度が甘かったため。
倍率色収差は効果的に補正されていることがわかる。
周辺減光補正は、個人的にはちょっとやり過ぎ?のような気がする。補正無しのほうが自然な印象を持っている。

いずれにしても、F4に絞れば結像性能はLレンズといっても過言ではない、と思う。

逆光時のフレアの比較
RF50mm F1.8STM
Flarerf

EF50mm F1.8 Ⅱ
Flareef

同一条件にしにくいので、あくまでも参考程度。
EFでもSTMバージョンはコーティングの改良があったので、ここまで差はつかないと考えられる。

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2021年2月 4日 (木)

RF50mm F1.8 STM その3

今度は、絞りこみによるコマ収差の改善を調べる。
F4まで絞ってコマがすっきりすれば、天体用にも好適といえるのだが、いかに。

フルサイズ左下隅、全景の1/100の面積の切り取り。
上RF50mm F1.8STM/下EF50mm F1.8Ⅱ

F1.8開放
Ref5018coma

F2.8
Ref5028coma

F4
Ref5040coma

F5.6
Ref5056coma

F8
Ref5080coma

うるさいことを言わなければ、RFのほうはF4でコマ収差的に天体撮影にも合格である。
EFはF4ではまだ豚の蹄のようなコマが残っている。
これは大きな収穫である。末永く、この撒き餌を愛していけそう。
両者とも完璧にはF8まで絞るのが良い。が、星には暗すぎる。

たまたまこのRF撒き餌で、急遽半ば業務の写真を撮る必要に迫られた。
しまった、ズームを持ってくるべきだった、と一瞬後悔したが、50mmで広角的にも望遠的にも使いこなしていた昔を思い出した。
直線が直線にきちんと出る。金属の光沢の木目がきちんと出る。
単焦点は頼もしく、楽しいのだ。

足で稼ぐ被写体との画角調整、絞りの使いこなしでポテンシャルを発揮できるMT車のような楽しさが、このレンズにはある。




 

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RF50mm F1.8 STM その2

最新の設計で大幅に高性能化ができるんじゃないか?
バックフォーカスの制約もなくなり、比較的ローコストなPMo非球面レンズだって使える昨今。

MTF メーカーHPより
上RF50mm F1.8 STM
下EF50mm F1.8 STM
Mtf_5018s
曲線を眺める限り、革命的には向上していない。
画面中央から15mm辺りまでは、非点較差が少なく良好な画質が期待できそうだ。
それより隅は基本5群6枚のダブルガウス型だからたぶんね、主としてコマ収差による低下でしょうね。
また、これは絞り開放の時の曲線だから、絞ってどうなるかはわからない。

EF50mm F1.4 USMの開放のMTFはこれより低めだけど、F1.4~2あたりでバックからふぁっと主題が浮き立つような描写は好きだし、MTFだけでは何とも言えない。

夜景でテスト。開放での比較。

↓RF50mm F1.8 STM開放 全景
Rf5018comazen

↓EF50mm F1.8Ⅱ 開放 全景

Ef5018comazen

この段階でわかることがある。
RFのほうが少しワイドな画角であるということ。
ちなみに、歪曲収差補正は双方ともONである。OFFにしてもRFのほうはほとんど変わらない。
伝統的に、各社50mmレンズはライカのレンズを手本にして?、実測値は51.6mmのものが多いが、バックフォーカスの制約が緩くなったのでRFでは正確に50mmにしたのだろうか。

では、部分を拡大して観察してみる。

全景の面積1/100を切り取って比較している。

まず、中央。上RF、下EF以後共通
Ref5018comacent
よく似た描写である。非球面だから球面収差に大差が出るかと思ったが。
EFのほうは、やや軸非対称なハロが生じている部分がある。
プラ鏡筒のガサガサが影響しているかも。それも実力のうちである。

APS-C判隅に相当する左下方部分
Ref5018comaaps
RFはコマ収差は認められるが許せないほどではない。立ち木など、画像の鮮明さは割と保っている。
EFはいかにも昔のレンズといった感じである。
かなり差のついた部分である。

フルサイズ左下隅部。
Ref5018coma
隅まで来ると、さすがにRFもコマ収差が目立つ。RFのコマのほうが瘦せてシュッとしているが。

開放の比較では、中間画角まではRFが顕著に良い。隅は、両者ともコマ収差で画質が低下する。

 

 

 

 

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RF50mm F1.8 STM その1

 ミラーレスのフルサイズにしても、ミラーありに比べて圧倒的に小さくなった感じがしない。
レフ時代のレンズをマウントアダプタ―で運用しているせいもある。
元のレンズが小さいほど、アダプターの長さ、重さが効いてくる。
ボディも小型軽量が売り物のEOS RPだからなおさら。
それに、高性能を打ち出すあまり、レンズが大きく重くまた入手絶望的に高価。

 レフ機時代みたいに撒き餌レンズの一つや二つは出ないものか。      
と思っていたらミラーレスにも出ました。その名もRF50mm F1.8
さすがCanonわかってらっしゃる。
これなら買える、と注文に走るのだが、納期約1ヶ月だそうだ。
EF50mm F1.8Ⅱはあるし、不要不急なので、じっくり待つか。
と、入荷連絡。思っていたよりは早く、二週間位で来た。

Souchaku5018s

さて、このレンズ、光学系が一新されている。
レンズ構成5群6枚というざっくりとした表現では同一に思えるが、非常に長きに渡って製造の続いたEF50mm F1.8の系譜とも、素人が見ても似て非なるものであることがわかる。

レンズ単体では後玉がマウント面より前に引っ込んでおり、ミラーレスのショートバックフォーカスを充分生かしていない感じに思える。
Rear_5018s

しかし、レフ用のものはマウントアダプター(厚み24mm)を挟まなくてはならないから、話が変わってくる。
下図の赤はセンサー(対角43.3mm)の大きさと位置を表す。

Comp5018

厳密に正確ではないものの可能な範囲で寸法関係に配慮して、並べてみる。
(構成図はメーカーHPより拝借)
レフ機時代の光学系を流用して鏡筒だけを再設計しても、S社の50mmF1.8のように袴が長くなり、今回のRF撒き餌ほどはコンパクトにならないことがわかる。

Length5018s


絞りの前後のパワー配分が違う。

Ilis_501856
同じ絞りF5.6にして両者を前後から覗き込むと、RFのほうは後ろから見たとき絞り径が比較的小さく見える。従来に比較して後群の負のパワーが相対的に強く(極端に言うと凹レンズっぽい)従来と比較すればテレフォト型っぽくなっているといえる。バックフォーカスの制限が緩くなった中でレンズをいくらかでも後退させ、レンズの全長を抑えるためであろう。

まあ、ユーザーとしてはコンパクトになり、より近接が効いて、画質は今までと同等(かできれば改善があれば尚よくて)なら、メーカーの苦労など知る由もないが。

近接性能は目に見える進歩。
RF50mm F1.8 30cm
Rf5018up

EF50mm F1.8Ⅱ  45cm
Ef5018up
もっとも、EF50mm F1.8 STMでは35cmまでは行けるわけで。。。

とはいえ、近接になればなるほど急に繰り出し量は大きくなるので、5cmの差も偉いのです。
Kuridashi5018s





 

 

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