口径8cm用バックロードホーンの設計製作3
およそfx=200Hzになるように空気室は増減してみたが。
ボーカルが風呂場エコーになる。
低音に今一つ芯のない・・・”実”が入っていない・・・音である。
もう一度音質の傾向と対策表を見る。
まだ④寄りの音だ。①に向けていきたい。
そこで第一音道にt=4mmの板を挿入して、スロートを絞ってみる。
スロート断面積So=1.7×12=20.4cm2
これはFE83NVの振動板面積3×3×3.14=28.26cm2の72%ほどで、Qo=0.78と高め(非力)のユニットには妥当な数値ではないかと。
fx=200Hzとするには、空気室は
Va=10*So/fx=10×20.4/200=1.02L
となるから、さらに0.2Lほどの詰め物を追加したほうが良いのかも、と予想する。
音はどうか。
低音にグンとしまりが出た。ピントが合う感じだ。
ただ、低音のカットオフが高くなった感じ。ある音域を境に低音がからきし出ない。??
一応、ホーンの開きをもう一度エクセルで検証してみる。
スロートは狭くなったのに開口は同じ大きさだから、広がり率1.1の理論曲線より上に乖離が大きくなった。
むしろ広がり率1.2の曲線に乗るようになってしまった。これはおそらく広がり率が大きすぎ、やり過ぎである。
では、音道を再設計しなおすしかない。
赤い材をつけ足してつじつまを合わせることにした。
これにより、広がり率1.1にできるだけ近くなるようにした。
つまり、同じ広がり率でも、スロートの断面積で、箱そのものの大きさは大きく変わってくることになる。
スロートを小さく決めれば、小さい箱で済むわけだ。
のこぎり買うくらいなら狭いスロートに合わせて再設計したほうが手っ取り早いかもしれないが、たたき台・・・経験値を増やすつもりで錯誤することにする。
勇気をもって、切開手術。
広がりが増え過ぎないように板材を足す。まあ、補強にはなるかも。
空気室には0.594Lの木端を詰めたときが聴感上、ベストと思われる。スピーカーの後ろの飛び出しを0.07Lとすれば、
この時、実効Va=1.845-0.594-0.07=1.18L
この時のfx=10*So/Va=10×20.4/1.18=172.9Hz
fx=200Hz辺りが望ましいということなので、もう少し木端を詰めてfxを上げてもみたが、低音の量感は増すがややふやける。
バックロードホーンらしいスピード感を優先して、このfxとした。
この新音道にしたら、ボーカルのエコー感はほとんど気にならなくなった。
試しに吸音材も入れてみたが、わずかの挿入でも音が死ぬ。音に活気がなくなり、面白くなくなる。
わずかにボーカルがに賑やかになるが、吸音材は無しがいい。
スピーカーが非力なせいか、この辺の調整には敏感に反応する。
当初の残念なボンキュッボンから、腹筋割れてるみたいなイメージになった(笑)
わずか8cmのフルレンジとは思えない、アタック感のある低音が出るのに驚いた。
バッフルを接着剤で固定したら、一段といい方向に変化した。
ただし、弱点もある。
バスドラのキックがドン、ドスンと来なくて、ポン、ポンと軽い。
こういう曲は苦手である。
(ユニットの音とホーンからの音が充分混じるように離れて、その分音量を上げて聞けば、まあ合格範囲にはなる。)
ルームアコースティックも重要である。
バスドラにベースとか重なる曲ならいい。むしろ30cm3Wayもびっくりの音である。
ジャンルというより、同じミュージシャンの曲でも、楽曲一つ一つ向き不向きがある。
やはり周波数特性に山谷があるのだろう。
でも、アタック感に富んだ、バックロードホーンならではの音に仕上げることが出来たと思う。
以上、個人の感想です。
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